天国からのエール

あじさい音楽村 1/2

「あじさい音楽村」創設者
仲宗根陽(なかそね ひかる)

写真:モデルとなった仲宗根陽さん。凛々しい顔立ちにおだやかな笑みを浮かべている。1967年1月21日、沖縄県国頭群(くにがみぐん)本部町(もとぶちょう)生まれ。高校を自主退学後、海上自衛隊に勤務。18歳で上京し運送会社を興す。10年後運送会社を手放し、故郷の本部町で「あじさい弁当」を始める。98年、弁当屋の地下に借金をして手作りの音楽スタジオ「あじさい音楽村」を創設。すべてが無料の音楽スタジオは高校生を中心に大人気となる。やがて、プロを目指す若者が増え、有限会社あじさいミュージックを設立。数々のアーティストをメジャーデビューさせる。2005年8月、腎臓がんと診断される。再発を繰り返しながら、08年1月に余命3カ月と宣告される。同年から本部町観光大使に就任。同年、「あじさい音楽村」の功績が認められ第1回沖縄タイムス地域貢献賞を受賞。09年11月15日逝去。享年42歳。

<コメント>

映画化のお話をいただいたのは、2009年7月でした。映画なんて別の世界の事で、全く無縁だと思っていたので、信じられませんでした。主人は「ケンカのシーンが多いかもなぁ~」「俺の役は誰がするのかな……?」と嬉しそうに話していて、どんな映画になるのか、とても楽しみにしていました。完成した映画を観て、いつも見ている、本部の町並みや青い海、弁当屋、音楽村がとても懐かしい様な、不思議な感じがしました。(陽が)子ども達と真剣に向き合う姿……ラジオ局でみかんを片手に懸命に宣伝する姿……痛みをこらえながら、子ども達の後押しをする姿……結婚式……そして病院……他にも沢山の場面で現実と重なり、涙が溢れ止まりませんでした。主人は、映画で描かれている様に、困っている人を見ると放っておけない性格でした。曲がった事が大嫌いで、どんなに目上の人にでも偉い人にでも意見を言うタイプで、“正義の味方”みたいな人でした。その反面、冗談が好きで、親父ギャグを言っては、皆を笑わせていました。映画の製作決定を待たず主人は他界しましたが、“天国からエール”を贈りながら見守っていると思います。素晴らしい作品を有難うございます。

仲宗根美幸

有限会社 あじさいミュージック崎浜秀明

2000年、仲宗根氏の亡き親友、金城博光氏の妹の紹介で仲宗根氏と出会い、意気投合。

2005年、正式にあじさい音楽村スタッフとなり、現在に至る。

写真:「あじさい10か条」の張り紙。黒いマジックの手書き文字で、あじさいスタジオのルールが書いてある。仲宗根に初めて会った時、怖さや厳しさよりも、温かさを感じたのを覚えています。仲宗根と私は年齢も性格も違いましたが、ひとつだけ共通するのは、頑張る子供達が大好きで彼らにエールを送りたい、という想いでした。出会って5分で、子供達の為に一緒に頑張りましょうという流れになっていました。 彼の行動で印象に残っているのは、とにかく若者が問題を起こした場合に、「叱る」ということです。叱るときは徹底して叱りました。理解できるまで何時間でも諭しました。それには物凄いパワーが必要です。人として本気で間違った子には手をあげることもありました。しかしながら、そばで見ていても、それが暴力ではなく愛情から成り立つ行動だと感じられました。本当に、「人間力あふれる篤い人」でした。人の痛みがわかり、優しさと厳しさがはっきりしていて、いつも本気で正義感が強く、人の温もりを大切にする人でした。

完成した映画を観て、心が大きく揺れました。仲宗根がいないことに、悲しくて泣きました。仲宗根が死んだことに、悔しくて泣きました。仲宗根と出会えたことに、嬉しくて泣きました。仲宗根と生きた瞬間に、喜んで泣きました。そして、勇気と元気とやる気が生まれました。映画を通してあじさいの「はじまり」と「きっかけ」を受け止めることができました。仲宗根と生きて一緒に観ようという夢は叶いませんでしたが心の中で仲宗根を強く感じることができました。仲宗根陽が映画を観て笑って、泣いて、照れて、喜んでいる顔と、いつものように「あーきー、俺の役が阿部寛さんだって……どう思う?」と笑っている声が聞こえてきます。監督やプロデューサーはじめ、スタッフの皆様の映画への思いや関わる全ての皆様への感謝のありがとうでいっぱいです。映画を通して改めてあじさい音楽村は「音楽」と「恩楽」を発信して生きたいと感じました。

あじさいはこれからも変わらずに「陽のあたる場所」であり続けたいと思っています。みんなの居場所を作っていきたいんです。「生きることの大切さ」、何のためにやるのか、何のために生きるのか……“何のため”を考え、感じていけるような場所であり続けたいと思っています。

【原案書籍JK写】
原案:「僕らの歌は弁当屋で生まれた・YELL」(リンダパブリッシャーズ刊)

10月1日(土)全国ロードショウ

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